2009/スイス・イタリアⅢ

スイス~イタリア 奮闘記


2009年6月16日(火)

ふと、目が覚める。美しい朝焼けが起こしてくれた。

出発時間はいつもより少し余裕があるので朝ごはんものんびりめ。
とは言え、今日は ナポリ→カゼルタ→バーリ→アルベロベッロ と移動が多い日。

「南イタリアの列車は殊の外ルーズです」と聞いていたので
カゼルタからの指定特急に間に合わす為、早めにナポリの駅へ歩いて向かう事にした。


平日だからか、たくさんの人が通勤や買い物で行き交い、
ここに到着した日曜日とは少し違う雰囲気。
慣れたのもあるけど、怖い印象がなく、歩きやすくなった感じ。

とはいえ、駅に近付く度増える露店、靴下売りなんかの行商も増えてきた。


慣れた足並みでスムーズに駅に到着。

駅員さんにカゼルタ行きを念のため確認し、ホームへ。
もう一度今度は車掌さんに確認して無事普通列車へ。

スイス、イタリアと、毎度列車に乗ってきたが、
日本との違いはかなりあって、
改札口もなければ、ホームに次は○○駅って表示もない。
アナウンスも殆どなく、発車のベルも無い。
いかに日本が親切なのが、良くわかる。

でもその親切が過ぎるんでは?と感じ始めた。
その親切な表示やアナウンスに慣れてしまって、逆に人とのコミュニケーションが失われてるのかなと。
ここに居ると、いろんな人が「どうしたの?」と助けてくれるもの。
知ってる人が知らない人に声をかけてくれる。
そんな状況に度々出くわした。


カゼルタでお昼をとる計画がいいよ、とアドバイス頂いてたけど、
降りてみるとどこに何があるやらで、
とりあえず自分達が次乗る特急が止まるホームを確認して、駅のカフェで一休み。

ユーロスター発車まで3時間程あるので、
街散策に出かける。

お昼休みらしく、どのお店もほぼ閉まってる。
暑い熱い日差しが、建物を反射する、きれいな街だなぁ。
小さく廻ってまた駅へ。
相変わらずギリギリまでホーム№が表示されず、
同じ列車を待ってるであろう各国の人たちが、椅子を立ったり座ったり。

定刻通り、予定通りのホームに来たユーロスターでまずはバーリへ。
順調に進んでるかと思いきや、
結局遅れが生じてきたみたいで、何個目かの駅でみんなザワザワし始める。
どうやら「遅れてるやん」みたいな会話が飛び交ってる模様。

バーリの駅で待つドライバーさんに伝えてもらうため、手配会社に一報入れるも、
「大丈夫ですよ~、遅れてもドライバーはずっとお待ちしてますからー」と
『いつものことよ』なお返事(笑)

30分遅れでバーリに到着。
ホームに「Mr.○○○」とプレート持った彼を発見しご挨拶。

ここからそのドライバーさんに連れてってもらう、アルベロベッロ。

若そうなドライバーさん、ちょっと急いでくれてるのかな。

アルベロベッロはトゥルッリっていう円錐のとんがり屋根が特徴のおうちがたくさんある世界遺産の町。
その本物のトゥルッリに泊る事が出来る事を田中さんに教えてもらい、色々な手配をして頂いた。
レセプションが20:30までなので、間に合わなければ結構ややこしいシステムになっており、
ハラハラ。

ずんずん真っ直ぐな道。
時々どこかの町が見えてくる。
進んで
曲がって、
少しずつ とんがり屋根が増えてくる。

間に合った!
無事レセプションに送り届けてもらい、
チップを払うととても紳士的なご挨拶をしてくれた。
トランクを持って、ひとときの「我が家」へ向かう。
コロンボ通りの46番。

すべてがかわいい。
2つのベッドルームとダイニングキッチン。
自分でお湯をわかして、
この「洋」な雰囲気の中、持ってきた味噌汁を飲む。ウマイ!

夕暮れ…と言ってももう21時前。
この時間のアルベロベッロの体験は今しか出来ないから
足早に散歩してみる。

青からオレンジのグラデーション。
スイスもイタリアも空がとっても広い。
だからすべてにおいて美しい。

鳥が教会の周りを舞い、
BARの明かりがチラホラ増え、
お土産物屋さんが片付けの準備をしだす。

貴重な散歩を終え、
また明日早起きする為に早くシャワーをかかろう。
と、小さなバスタブに…お湯…出えへーーーん。
やり方がイマイチわからず、断念。
パウダーシートが役に立つ。
体全身ふきふきして、おやすみなさーい。


2009年6月17日(水) ①

朝食は部屋に用意してあり、お台所もあるので
お湯を沸かしてコーヒーいれたりできる。

その前に散歩。

ほとんど人がいない、早朝のアルベロベッロを2人占めな感じで歩く。

時々、その世界遺産に住む人たちに会い、「ボンジョルノ」と声を掛け合う。

トゥルッリのおうち、屋根は平らな石を何層にも積み重ねて出来ていて、
ドアは二重扉の様になっている。
小さな方を開けると光が差し込む仕組みになっていて、
丸見えにならないようにそれぞれその小さな扉にレースカーテンを掛けてある。
その模様を見るのも楽しい。

ドアの形や色も一軒一軒違ったり、
同じトゥルッリでも、同じでないところが
飽きる事なく魅せてくれる。

いろんな道歩いて一度部屋へ。
日本から持ってった梅ごはんとRちゃんにもらったたまごスープ、
コーヒーなどでもぐもぐ朝ごはん。


ホテルのレセプションに、「チェックアウト後も14時まで荷物を預かってほしい」とつたない英語で言ってみるが、
伝わっているのか良くわからない。
でもフロントの人がとても良い人で、ゆっくり話してくれたり、パソコン使って日本語変換してくれたり、
なんとか意思疎通が。
と言うより、実はこれからのこちらの予定をちゃんと把握してくれてて、
「14時まではフリータイム。お好きなように!」と笑顔。
日本で色々手配してくれた田中さんにも感謝。

観光客がぼちぼち増えてきたお昼前。
もうすでに日差しは強く、白い街では照り返しが激しい。

教会へゾロゾロ入ってく人達。ミサがあるのかな?
ちょこっとついて行って見学したり、お土産物屋さんウロチョロしたり。

おなかがすいてヒョコっと入ったレストラン。
ものすごいおいしさに万歳。今のところこの旅NO.1かも!

他の席に座る人達はみんなイタリアの方の様。
奥のテーブルのファミリー、小さな女の子が何故か私たちにすごくなついてきて。
キャッキャ笑いだし、しまいには抱きつかれ、私の目はハート。
食べてしまいたいくらいキュートガールでした!

ちょっと良さげなレストランだったので、少し高めかなと思ったけど、
とても良心的なお値段。
そういえば、お土産物屋さんで働く日本人の方が、
「この地方は本当に食べ物がおいしくて、わざわざ車飛ばして食事に来たり、
 食材買いに来る人が多いのよ」と話してくれた。
前日に買ったサンドやパニーニも、そういえば安くておいしかったなぁ。

タイムリミット。
14時。

アルベロベッロとお別れ。
昨日とは違う専用車に乗って、
「アルベロベッロに興味があるなら、この町もお勧めですよ!」と田中さんが推薦してくれた
ロッコロトンドという町へ移動する。

ホテルの人が「プレゼント!」と渡してくれたミニチュアのトゥルッリ。
とても親切にしてくれた上に、プレゼントまで頂いて、
感極まる…
ちょっと涙が出そうになるくらい感激した。

迎えに来てくれたドライバーさんとご挨拶。
こちらもまたいい感じの方。

ばいばい、アルベロベッロ。また逢えるといいな。


ロッコロトンドへ出発! 


2009年6月17日(水) ②

ロッコロトンド。初めて聞いた町。

ここの散策時間は2時間!はりきって歩かなきゃ。

白いおうち。
しかく、さんかくの屋根。
かわいい小窓
家と家の間の洗濯物。
少ししかないお店達はお昼休みでclose。
観光客もほとんどいない。

静かで、小さく白く輝く町。

路地をあちこち、右左と曲がり、
途端に見えてくる高台からの広い広い緑多い土地。
ちらほらトゥルッリが建つのも見えて、尚かわいい。

時間ギリギリまで町の外れまで
暑さになんかに負けず、ひたすら歩く。
地元の人が声を掛けてくれたり、
「あそこにいい教会があるよ」と教えてくれたり。

約束の時間に待ち合わせ場所に向かうと、
ドライバーさんがおじさんと楽しそうにお話ししている。
この町の方みたいで、私たちとも陽気に握手を交わしてくれた。
そしてまたまた「プレゼント」と、この町の風景のポストカードを。
笑顔が素敵、心意気が素敵。
何もかもがあたたかい…。

あぁ…、次の日は最終日となるローマ。
ローマへ行く為に一旦泊まるはバーリという街のホテル『ヴィクター』。
そこまで丁寧に送って頂き、ドライバーさんとお別れ。

晩御飯の買い出しにだけ歩いたバーリという街は
若者が多い印象。
賑やかだが、ゴミや落書きが多くてちと残念な街。

さ、明日はこの旅一番の早起きだ。
早々に眠りにつくとしよう。


2009年6月18日(木) ①

7:01 バーリ発  11:00 ローマ テルミニ駅 着 予定

ホテルの朝食はほとんど7時からで、
ターミナルや列車の中で済ます事も多い。

この日も早起きして
少し余裕持って駅へ。
ユーロスターの発着ホームまで移動し
列車を待っていると雲行きがどんどん怪しくなってきて…
ゴロゴロ雷が鳴り響く。
稲妻も何本も見え、鳥達がせわしなく逃げ飛んでくる。

イタリアで初めての雨を見た。
通り雨のようで、しばらく降ると小雨に。
ローマは晴れててほしいなぁ…。

最終日のローマでは
昼前に到着して、ホテルに荷物を預けてから暗くなるまでの時間しかない。
その短い時間でいくつ名所を廻れるかが勝負。
列車よ、遅れないで…
太陽よ、ローマを照らして…

今回のユーロスターはどうやら最新式ぽい。
座席の座り心地が今までのよりいいし、
行き先案内のモニターもいくつか天井に付いている。
一番の快適さだ♪

と、喜んでいたのも束の間~。
カゼルタあたりで列車はスピードを落としたり止まったり。
あれれ…また遅れますかね。

嫌な予想は的中するもので、
ローマに着いたのは45分遅れの11:45。
でも暑いくらい晴天!
急いでホテル『コロナ』を探し、チェックインする。
手持ちの荷物を軽くして散策開始。

どの街よりもやっぱり都会な印象のローマ。
少し歩くと歴史的建造物にすぐぶち当たる。

まずはローマで一番見たかったコロッセオ!
の前に…窓からコロッセオを眺められるカフェを見つけてランチ♪

愛想のいいウェイターさんと、おいしいお料理。
大満足で向かう、コロッセオ。
チケットを買って入場

もう…涙ものです。
格好いい!!
一日中見てたい感じ。

ぐるっと一周、
上に登ってさらに一周。
見れるトコ、全部見るぞってキョロキョロ、パシャパシャ…。

名残惜しくコロッセオを後にし、またひたすらローマを歩く。


ゴロゴロ見える遺跡、
有名な真実の口…

どんどん歩く、時間の許す限り
歩けるだけ歩く…


2009年6月18日(木) ②

川沿いを歩き、ブランド通りをウィンドーショッピング。

ポポロ広場に辿り着き、
ここまで歩くのにものすごい汗をかいて、足もパンパン。
かなり疲れてきてる、けど!
もっと見れるだけ見るんだ。

ポポロ広場ではこの日から3日間、何かのイベントが開催されるようで、
リハーサル中にお邪魔できた。
少しその模様を見せてもらって
スペイン広場へ向かう。

この旅に来て、
ひとり旅、
カップル旅、
家族旅、
団体旅
いろんな人に会って、お互いを写真撮りしたり、少し会話したりして、
このスペイン広場でもまた出会いが。

ひとり旅らしき外人さんが「写真を撮って」と笑顔で頼んできたので
「もちろん!」とカメラを構えると
貸し自転車駐輪場の自転車にまたがってポーズをとる。
何か有名な建物の前とかでなく、
しかも大人な彼女が無邪気に自転車にまたがってる姿が何ともキュートで
私達は彼女にロックオンしてしまった。

一度「チャオ!」と別れたが、
スペイン広場の別の場所でまた会い「撮りましょう!」とジェスチャーで伝え、
今度は私達も撮ってもらった。

「英語は話せる?イタリア語?」と聞いてきたが
あいにく会話出来る能力は私達になく、
何か話せたらな~、とてもいい人なのにな~…
と、とりあえず片言で自己紹介。
彼女はブラジルの方でした。

多くの素敵な人達に巡り合った旅。
こちらがつたない英語しか話せないのに、
丁寧に道案内してくれた人や
いろんな説明をしてくれた方。
手伝ってくれたり、冗談を言ってくれたり。
その旅に「あなたに出会えて良かった!」と、話を進めてみたかった。
この年になって
英語くらいは話したい、と切に思った旅だなー。

そこからまたいろんな道を通り、
トレビの泉も見て、
パンテノンにも出会えた。
もっと行きたい場所はあるけどタイムリミット。
最後にジェラートをほおばり、ホテルへ戻る事にした。

夕暮れの景色(と言ってももう21時前)
戻るまでも、この目にたくさん焼きつけたくて、
一歩一歩進むたび見えてくる
建物、道路、路地、石畳
木々、暮れゆく空、看板、人、街燈
車やバス、羽ばたく鳥たち…

たくさんたくさん
自分の目に、
自分の中にいれてく。 


2009年6月19日(金)

目覚めて、しばし放心。
この旅の終止符を打つ日だと、更に沁みてくる。
さみしくせつない気持ち。

朝、また朝食をとれずに空港へ、
念の為、ぼったくられないように(笑)
先にいくらなのか調べた通りか、聞いてタクシーに乗り込む。
いいおじさんだった。

どんどん街並みが流れる中で、
ひしひしと噛みしめる、この旅の出来事。

ありがとう。
いい旅だったな。
失敗もあったけど、たくさん色んな経験できて、
たくさんいい人とも触れ合えて。

空港で朝食。
定刻通りにローマ フィウミチーノ空港を出発。
20分遅れで到着したアリタリア、
アムステルダムのスキポールでKLMに乗り換え関空へ。

関空に着いたら「おうどん」食べようか、
などと帰国後の話しながらも、
帰りたくない気持ちいっぱいでなかなか眠れず
二人して機内で映画を3本も観てしまった。

小さなメモ帳にはみ出すくらい
電車で、ホテルで、書きなぐった毎日。
この最後の日記も機内で書いた。
 

改めて…

親切にして頂いた
ホテルやレストラン、お土産物屋さん
すれ違うだけだった人たちにも、優しく声をかけてもらって。
カプリ島ツアーで一緒の時間を過ごしたみなさん
各地の名所でちょこっと言葉を交わした同じ旅行者の各国の方々。
留守を頼んだ家族、友達
この旅の色んな手配とアドバイスをしてくれた田中さん
そして
一緒に奮闘に、大いに楽しんだパートナー、

また逢う日まで。
そしてまた新たな地へ挑めるように…!

みんなみんなグラッツェ!!


2009/スイス・イタリアⅠ~Ⅲ

スイス~イタリア 奮闘記  終